日本で発達障がいと言われる子どもが急増している理由について。

このタイトルを読まれた方に誤解を招いてしまっていたり、不安を募らせていたりしたらごめんなさい。決して、そんなつもりはありません。

実際にこういった類の言葉をいろんな形で目にする機会が増えていると思いますが、その大半は、発達障がいの子が何らかの理由により増加しているということではありません。今回はそのあたりの理由について少し触れてみたいと思います。

まず、発達障がいとされる子どもがどれぐらいの割合で存在しているかの数値も様々なものがあり、「どれが正しいの?」と思われることでしょう。実際、そこも診断を受けている割合で見るのか?、出現率で見るのか?など、どの基準でデータを出しているかによって異なるため単純に比べることはできないし、障がいにおける診断名ごとの数値においても、重複障がいの場合にどの診断名に充当するかによってもまたデータは異なってきます。

そのあたりも今回の話と密接に関係してきます。

今回は具体的なデータ等にまで踏み込んでの話ではなく、その入り口となるデータの考え方によるものです。

例えば、データの根拠が医師による診断なのか、発達検査等の結果によるものなのか、学校の教員によるものなのかなどによりデータは大きく異なります。

この点だけでも、「えっ?診断って医師がするもんじゃないの?」って思われる方が大半だと思います。日本ではその認識が一般的だと思います。しかし、例えば、アメリカなどでは発達障がいの診断は学校の先生がつけることが多いそうです。これは私自身が、大学で特別支援の勉強をしているときにゼミの教授(小児科医)から教えられたことです。理由としては、子どもたちの特性を近くで、なおかつ長期間にわたって見る中で判断することが一番大切だという理由であり、発達検査であったり、短期間や少ない回数、短い診察時間の中だけでは正確な判断は難しかったりするからだそうです。そのように説明を受けると、非常に納得ができ、わかる気がします。

そのあたりが日本でも少しずつ変化していたり、実際に一番身近で接する学校の先生がどう見ているかも基準になったりすることから、いろんな角度からのデータが出されているようです。ただ、実際の診断名となると、まだまだ日本では医師によるものが中心です。

その点も踏まえて考えると、急増の要因の一つに発達障がいに関する“認識度”の広がりがあります。昔であれば、「元気な子」や「少し落ち着きのない子」などとされてきた子どもたちが、発達障がいの疑いがあると認識され、診察や発達検査等を促されることが増え、その結果、診断に結びつくということが増えています。それは学校の先生に限った話ではなく、保護者の知識や保護者が触れる情報も増えたことで、「もしかしてうちの子…」と思い、医療機関にかかる保護者の方が増えていることも同様の理由になります。

すなわち、医療機関等の受診率が上がれば必然的に、それまで見過ごされていたレベルの子たちまでが診断を受ける可能性が高くなるため、増えているように感じることが大きな理由の一つです。

もう一つの大きな理由が、発達障がいの診断基準や診断名が変更され、捉え方の概念が変わったことによります。重複しているケースが多い発達障がいの場合、一つの診断名に限定することや判断基準の線引きが非常に困難なため、スペクトラム(連続性)という考え方に変わり、ASD(自閉症スペクトラム)という一つの概念で捉えるようになりました。そのため、軽度の状態から重度の状態までを一つの診断名で示すため、そこに該当する人の割合が増えることによります。

このように、データというのは、その判断の仕方や基準、捉え方等により大きく変わります。仮に、そのものの本質がまったく変わっていなかったとしても、そのデータは影響を受け、まったく違ったものに見えます。そのあたりをきちんと知っておかないと、データや情報に振り回され、不安ばかりが大きくなります。

そして、周囲の大人が不安の中で子どもたちに接していると、その不安は必ず子どもたちに伝わります。そんな状態では、子どもたち一人ひとりをきちんと見てあげることもできないし、ちゃんと向き合うこともできません。まずは、しっかり知るところから始めましょう。

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