『平成』最後の日。朝からテレビをつけると、去り行く『平成』を惜しみつつ、新しい時代『令和』への期待を込めた数々の報道がなされ、いろんな形で『平成』という時代を振り返っている。そんなに意識していなかったが、そんな報道を見ていると、改めて一つの時代が終わるのだということを強く感じる。
『昭和』生まれの自分は、子ども時代から成人する直前までの約20年、『昭和』という時代に生きた。幼少期の思い出、小学校、中学校、高校といった学校時代の思い出すべてが、『昭和』の時代と共にあり、大人になるための大事なことを学んだ大切な時間だ。
大学1年生の冬、『平成』という新しい時代になり、その直後、20歳を迎えた。それからの30年あまりの時間、学生という時間を終え、社会人になり、そこから社会の荒波の中で必死に泳ぎ続けた。まさに、大人になってからの、いい事も悪い事も含め、すべての時間が、この『平成』という時代と共にあった。
時代が『平成』に変わり、『昭和』の時代以上に物は豊かで便利になり、子どもたちの様子も社会の様子も大きく様変わりした。
たしかに、豊かになること、便利になることはとてもいいことであり、その恩恵を受け、いろんな意味で豊かな生活を送り、たくさんのものを手に入れながら生きてきた。でも、その反面、失ったものもまた、たくさんあった気がしている。
“古き良き時代”
この一言に集約できる時間を知っているからこそ感じる、喪失感であり、“今”という時代への単なる嫉妬なのかもしれない。
「あの頃はよかった…」
自分もフッとした時に、そう感じたり、そう言ったりすることがある。
そうやって“今”を否定することは簡単だし、そのこと自体が悪いと言っているのではない。
いろんな意味で考え、トータル的に考えたら“今”の方がいいことは明らかだ。でも、そんな“今”はそれまでの“古き良き時代”の上に成り立っている“今”であり、どんなことがあろうと、我々はその時代の“今”を最たるものとして未来を向いて生きていかなければならない。
だからこそ、そんな“古き良き時代”を忘れることなく、新しい“未来”に希望をもって、“今”この瞬間を楽しみながら生きることが大切なのだ。
『平成』という時代があと数時間で終わり、新元号『令和』という新しい時代を迎える。
『昭和『平成』という2つの時代を生きてきた自分にとって、単なる思い出話のいい言葉として「あの頃はよかった…」と言いながら『平成』を、そして『昭和』を振り返ることができるように、これから『令和』という新しい時代を生きていきたい。
『平成』最後の日のひとり言…。