発達障がいのある子たちの伸ばすべきところ⑥

⑥『支援のポイント【算数・計算】編(その1)』

算数の勉強で必ず必要な力の一つが計算力。計算の種類はたし算・ひき算・かけ算・わり算の4種類(四則計算)しかないですが、そこに整数・小数・分数という3つの要素が単体もしくは複合体として加味されると、その難しさは加速度を増します。

数字が嫌い、計算が苦手という子にとっては好きになる要素を見つけることの方が難しい…。

まず、計算の基本は一ケタのたし算・ひき算。ほとんど、暗算のレベルか指でも使えば十分計算できます。中には指を使うことを良しとしない保護者の方もいらっしゃいます(ご相談に来られた際にそのことについての相談されることはとても多いです。)が、指を使うことがいけない確固たる理由があるなら教えて欲しいぐらいです。大切なことは、正しい答えを出せるということであって、正解に至る過程にいい方法・悪い方法なんてものはないと思います。

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かけ算にいたってはかけ算九九という形で、そのほとんどを暗唱という形で覚えます。わり算はかけ算の逆。事実上、かけ算九九で割り算の答えを求めます。

それより計算の難易度が上がった場合、一般的には、算数で『筆算』という計算方法を学びます。四則計算すべて筆算があり、紙と筆記用具があればできることはみなさんもご存じの通り。読んで字の如し、紙に“筆”(筆記用具)で書くことで計“算”する方法。暗算や計算の反復練習で対応できる計算のレベルを超える難易度の計算をするとなるとさすがに筆算に頼らざるを得ません。

と、ここまで書くと、まずは出来るところまで暗算や指などを使った計算方法を用い、それが限界に達した場合に筆算に移行する方がいいように思えるかもしれませんが、計算が苦手な子には最初から筆算で統一する形で計算ルールを教える方がいいと考えます。

その理由は、横書きに書く式での各位の混乱を避けたり、繰り上がりや繰り下がりの計算ルールを明確にするためと、計算すべき数字をできるだけ近いところに数字を並べて書ける筆算によって、計算時に必要な数字と不必要な数字を区別しやすくして情報の混乱を避けるためというところにあります。

左から文字を書くため、2ケタ以上の数字の式ももちろん左から書いているのに、計算する場合は繰り上がりや繰り下がりを考慮して右側の数字からするなんて、苦手な子にとってはハードルが高いことこの上なし。だから、2ケタ+2ケタの計算(繰り上がりを含む)で答えも2ケタになる計算において答えが3ケタになってしまうなんて不思議なことがごく自然に起きてしまう。

かけ算、わり算にいたっては、通常でも2ケタ以上の計算になると暗算でして正解するなんてことはかなりハードルの高いことなので、最初から筆算でしますよね?なのになんで、たし算やひき算は、可能なところまで横書きの式のままで暗算等を駆使して、おまけにさくらんぼなどのより複雑な計算方法を教えた後にようやく筆算に入る。そうでなくても情報が多いと混乱したり、取捨選択が難しい子たちに敢えてそんな難しい指導をするのか不思議で仕方ありません。

計算の目的は正しい答えを導き出すこと。その1点だけを追求すれば、最初から理解しやすく、ルールも混乱しにくく、より正解しやすいシンプルな方法を1つだけ教えてあげた方が苦手な子どもたちにとっては幸せなことだと思います。そして、それがある程度のレベルでマスターできた後、必要があれば初めて、別の計算方法や考え方を教えてあげれば十分な気がします。それをせず、わざわざ難しいことをしておいて「計算でミスが多い(計算ができない)んです。」とか「計算が苦手で算数が嫌いなんです。」って言うのっておかしい!!と思うのは私だけですか?

とは言え、もちろん、そんな筆算であっても計算方法として決して完璧なわけではないし、それですら難しい子どもたちもたくさんいます。

その筆算の弱点やそういった場合の対処法などについては、また次回ということで…。

<⑦につづく>

-代表者ブログ, 発達障がい
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