GIGAスクール構想に伴う、ハード面(1人1台端末)の整備と維持管理に関して、いろんな意見が飛び交っている中、萩生田文科大臣から出た前向きな発言により、さらにいろんな疑問が生まれてくる。
そもそもGIGAスクール構想ってなに?という人は、わかりやすい説明のサイトがあるので、そちらから構想の内容をご確認いただければと思います。
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3分でわかる!GIGAスクール構想の全貌(東洋経済ONLINE)
この構想自体は以前からあったもので2023年度を目途に進められていたものが、このコロナ禍で文科省が構想実現を一気に加速させ、実施を前倒しして今年度中の実現に向けて動いている。
この構想の内容自体はとてもいいものだと思うし、時代のニーズには合致していることで、いずれは教育現場もこの方向に舵を切り、間違いなく実現化される内容だと思う。
ただ、「今なのか?」という疑問と同時に「実現し、継続できるのか?」という疑問に対して、明確な答えは示されていないのが現実。
構想では、費用に関する国の負担は2分の1で残りは自治体が負担することになるとのこと。そうなると、一時的に発生するハード面の整備だけを考えても、財政力のある自治体とそうでない自治体とではその負担が自治体運営にいろんな影響を与えることは間違いないから、すべての自治体が諸手を挙げて「賛成!!」にはならないだろう。
加えて、今回の議論になっている『更新費用』を含めての維持費の問題。ICTの世界の技術革新は日進月歩で、単なる端末本体の型落ちなんて話ではなく、そのハードをまともに機能させるためのソフトや内容の更新といった必要性は非常に高い。もちろん機械物なので、故障もするだろうし、10年単位での長期間使用できるわけでもない。
そこまでをきちんと国が責任をもって進めてくれることを約束してくれるのであれば、まだ前進する可能性も高まるかもしれないが、文科大臣の発言が「がんばりたい。」だけではねぇ…。
もちろん、このGIGAスクール構想に限らず、国の施策のほとんどには費用が必要であり、その財源には限りがある。そして、今回の新型コロナウイルスの拡大といった不慮の事態が起これば、そちらに予算が割かれることもまた事実。そんなことは重々分かっているが、一時的に資金投下をすれば終わるだけのことではなく、継続するために費用が必要なことに対して、いきなり内容を変更したり、予算を削減したり、ひどい場合は実施を打ち切ったりと、結局、最後は国がはしごを外すような形になってしまうと困るのは自治体であり、なによりその恩恵を受けるべき子どもたちが困ってしまうので、そんなことにはなって欲しくない。
だから、焦って無理をすることなく、しっかりと実施・継続ができる方向性や予算立てをしてから実現して欲しい。
そう考えると、やっぱり「実現できるの?」って思ってしまうのは私だけではないはずですが…。