発達障がいについて少しだけ学んでみませんか?【アスペルガー症候群編(2)】

アスペルガー症候群の子は、日常生活、特に対人コミュニケーションの場面や学習場面でたくさんの困り感を抱えているケースが非常に多いです。その困り感と対応法を具体例を中心にご紹介したいと思います。

アスペルガー症候群の日常生活での困り感

①話し出すと止まらない。止めると怒り出す。…好きなテレビ番組について話し出すと、いつまでも止まりません。話の途中で割り込まれることを嫌い、周囲が困っていても、おかまいなしひとりで話し続けてしまいます。
【対応法】
●時間を決める…学校の休み時間や、テレビ番組の放映後など、思う存分話せる時間帯を設ける。
●話に答えない…決めた時間や順番以外に話をはじめたら、受け答えをひかえて、次の時間を待つように伝える。
●興味を広げる…興味以外のことを積極的に話しかけて、子どもの興味を引き出し、興味の幅を広げる。

②叱られているのが理解できず、場違いなことをいう。…ゲームに夢中で、何度注意しても上の空。大声で怒ると、きょとんとした顔で、どうしたのかと聞き返します。人が怒っていることが、わからないようです。
【対応法】
●表情の意味を教える…口のはじがあがったら笑っている、さがったら怒っているなど、表情の意味を具体的に伝える。
●遠回しな言い方をしない…ゲームをやめさせたいときは「ゲームは終わり」と告げる。「そろそろごはんよ」と、表現をぼかすと誤解をまねく。
●身振りで合図しない…言葉をいわずに身振りだけで合図をすることはさける。話しながら身振りをみせて理解をうながす。

③「顔が広い」「足をのばす」などというと、混乱してしまう…顔が広いといったら、信じたり驚いたり、「顔が広いの?重たくないの?」と聞き返してきたり。慣用句にかぎらず、冗談やオーバーな表現にも、そのつど真剣に反応します。
【対応法】
●裏のある言葉をさける…大げさな冗談や、本心とは異なる言葉はなるべく使わない。使う場合は、冗談だということを告げる。
●言葉の意味を教える…慣用句やことわざは、伝え方によっては理解できる。感情的にならず、やさしく教える。
●間違いを笑わない…笑われると、ショックを受けたり、反対に調子に乗ったりして、いつまでも直らない。落ち着いて対応する。

アスペルガー症候群の学習場面での困り感

①好きなキャラクターの名前を大人が驚くほど覚えている…学校の勉強は特別すぐれてはいないのに、好きなテレビ番組や鉄道線路などのことは、まわりを驚かすほどの記憶力を発揮します。難しい漢字や英語がまざっていても、難なく覚えます。
【対応法】
●本人の興味をいかす…年号を覚えることから歴史に興味をもったら、その興味をのばす。古い時代の調査や、人物研究などをおこなわせる。
●いろいろな課題を出す…苦手なことも上手に体験させる。自由研究に具体的手順を示し、美術で具体的な課題を出すなど、子どもがとりつきやすいことをやらせる。
●好きなことを否定しない…分野の偏りがあることを受け入れ、そのなかですぐれた点をほめる。自信がつくと、苦手な分野にも手を出せるようになる。

②サッカーで手を使ったり、ゴールを間違えたりする…球技のルールを、なかなか覚えられません。ひとつのルールを覚えても、同時にほかのことを指示されると、混乱して間違えてしまうことがあります。運動が苦手な子だと思われがちです。
【対応法】
●道具でサポートする…ゼッケンやカラーコーンで色分けして、ルールを理解しやすくする。情報をわかりやすくまとめ、混乱を減らす。
●まわりの協力をえる…ルールを変更すればみんなが楽しめるようになると説明する。グループ活動には協力が必要不可欠。
●イラストで説明する…見方と相手の違い、正しい動作と反則の動作などをイラストで説明する。競技中に指示するよりも、伝わりやすくなる。

③ふたつのことを同時に行なうと混乱する…先生の話を聞きながらノートに文字を書いたり、話の重要性を判断してマークをつけたりすることが困難です。複数の情報を同時に処理することができず、どちらかに気を取られてしまいます。
【対応法】
●段階にわける…話を聞く、ノートに字を書く、ペンで色をつけるなど、段階にわけ、順を追って作業をしていくことは得意
●作業を減らす…伴奏を聞きながら歌い、踊ることは難しい。行動が重なって理解しにくいため、歌か踊りを減らすとよい
●見本をみせる…まねをすることが苦手な子もいるが、見本をみせることで理解が早くなる子もいる。話しながら、実際にやってみせる。

今回は参考資料に掲載されている具体例とその対応法を中心にご紹介させていただきましたが、この日常生活や学習場面の困り感の根底に『こだわり』という特性があることも忘れてはいけませんし、そこを理解して対応できるかどうかが大きなカギになります。

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『こだわり』があるからこその困り感と『こだわり』があるからこその得意なことの能力の高さという感じで相反する力を持っているのもこのアスペルガー症候群の特性の一つだと思っています。

だからこそ、その部分をうまく活かすようにすることが対応法の第一歩であり、本人の能力をどんどん伸ばすための道標が見つかるはずです。

次回はその『こだわり』のあたりから学んでみたいと思います。

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