発達障がいについて少しだけ学んでみませんか?【AD/HD編(3)】

注意欠陥/多動性障がい(AD/HD)の治療と薬物療法

AD/HDの場合、医療機関で診察を受け、治療を進めている場合薬物療法を用いられている場合が多いです。これは、AD/HDが他の発達障がいに比べ、比較的薬物療法が有効だからです。

たしかに医師の診断の下での薬物療法は有効な対応の一つです。しかし、障がいそのものの原因が脳の機能不全から引き起こされているものであることを考えると、その脳の機能不全を改善する治療法や薬が確立されない限り、薬物療法は一時的なものであり、それだけに頼るということはずっと薬を服用することが必要だということになってしまいます。

薬には作用の他に副作用があることも忘れてはいけないこと。特に、AD/HDでよく使われる薬には、食欲不振、体重の減少、不眠、頭痛、不安を感じる…などがあります。もちろん、作用、副作用とも個人差があるので、すべての人に当てはまるわけではありません。

対応の変更や生活環境の変化から取り組んでみよう!!

まず最初に取り組んで欲しいことは、子どもへの対応を変えたり、生活環境を調整することです。一見難しそうに感じるかもしれませんが、基本的な考え方は普通に子育てをしていくことと同じことです。ただ、本人の特性をしっかり理解し、本人に合った対応を心掛けるということです。

具体的には、良いことをしたらしっかり褒める、悪いことをしたらきちんと叱るといった場合、次のようなことに注意する必要があります。

(1)必ず、そのことを伝えたいタイミングで褒めたり叱ったりする
(2)感情的にならず、落ち着いたトーンで具体的に話して伝える
(3)褒め方、叱り方に一貫性を持たせ、混乱させないようにする

(1)については、タイミングを逃すと逆効果になります。自分が忙しかったり、他に何かをしていたりするからといって後で褒めたり叱ったりしても、本人にしてみれば「何の話?」状態であり、褒められたり怒られたりしている原因の行動と言われていることがリンクしません。そんな状態ではいくら伝えたところで、伝わりにくく、本人の中に残りにくいので効果は薄くなります。

(2)については、感情的になっていると、それを敏感に感じ取った子には伝えたいことが伝わっているように見えてもほとんど伝わっていません。落ち着いたトーンで、できるだけ文章は短く、伝えたい内容を端的かつ具体的に伝える。そして、必要に応じてそれを繰り返すことで伝わりやすくなります。

(3)については、(2)の中で述べた“繰り返す”にも関係してきますが、何度も伝えることが必要な子に対して、その内容に一貫性がないと本人は不信感を感じたり、混乱したりして余計に伝わりにくくなります。褒めている内容も怒っている内容も、きちんと一貫性を持っているということは最低条件です。

もう一つ大切な一貫性

こうした取り組みはご家庭だけでもダメで、本人に関わるできるだけ多くの人に協力してもらい、共通理解の下で一貫性のある関わり方をする必要性があります。少なくとも、『家庭』『教育機関』『医療機関』の関係を、可能であれば『地域』や本人が所属する『コミュニティ』も含め、一貫性を持った関わりが持てれば本人の混乱は軽減でき、大きく成長できる可能性が広がってきます。

20160204001

そのパイプ役を担うのが『家庭』の重要な役割。特に教育機関では「一人だけ特別扱いするわけにはいかないので…」と言った正当な言い訳(?!)とともになかなか受け入れてもらえなかったり、対応をしてもらえなかったりすることも多いかと思いますが、諦めることなく、本人の成長のために必要なこととしてお願いすることが大切です。

できることから少しずつ。決して一度に多くを望まないこと!!

まずは、対応の変更や生活環境の変化から取り組んでみましょう。その上で、必要性があれば医療機関に相談して薬物療法も併用してみることも検討するというスタンスで考えてみてはどうでしょうか?

そして、スモールステップで少しずつ、少しずつ…。

一人ひとりの“ゆっくり”した成長のペースに合わせて、一緒に苦手なことを少なくしたり、できることを増やしていきましょう♪♪

-代表者ブログ, 発達障がい
-

© 2024 NPO Selfish(セルフィッシュ)