帰国子女の持つ意味

ある本を読んでいる中で、帰国子女枠による入試に関することが書いてありました。それを読みながら、「在タイ時代の塾の生徒たちがみんながんばって帰国子女枠での入試にチャレンジしていたなぁ…」なんて、懐かしく思い出しちゃいました。
タイでの自分が目の当たりにしてきた実状(たった1ヶ国だけだが…)を改めて考えると、この『帰国子女』という言葉の持つ意味に関してはイメージ先行の感がすごく強いし、誤解されていることが非常に多かった気がする。特に、帰国子女枠という制度を持つ入試制度に関しても一考の必要性を感じざるを得ないのが現地での現状だ。
とりあえずこの言葉の持つ意味やイメージを調べてみたら、このように紹介されていた。
【特徴】帰国子女特有の特徴としては、滞在国が一国に留まらず複数の国に滞在する場合もあるなど、成人前の年齢時に長年複数の文化圏で育つことによって得た「国際感覚」(外国や外国文化に対して、プラス・マイナスどちらの偏見もなく、対等に接するバランス感覚)を持つものが多いことがあげられる。
しかしその反面、親の教育方針や本人の置かれた環境(在住した国や学校、友人などの影響)により、自分もしくは親の母国である日本や日本人、日本文化に対する差別意識のみならず、在住した国に対する差別意識を持つケースもある。
また複数国に滞在した結果数ヶ国語を習得する場合もある。幼少時から外国で育った場合は、日本語を含む複数の言語を自然体で操るバイリンガルの場合も少なくない。しかし、帰国子女だからといって一概に現地語に堪能であるとは限らず(これは教育環境に左右される)、中には教育環境や保護者の教育姿勢を反映した結果日本語・現地語ともに中途半端な習得にとどまる場合もある。これは特徴的な事例なために、セミリンガルと呼ばれ、言語学者の興味の対象となっている。
【偏見】また、日本ではマスコミの影響からか「帰国子女=英語」と一般的に受け止められている傾向があるが、上記の通り滞在するのは必ずしも英語圏とは限らないため、「帰国子女であれば英語に堪能である」というのは無知を元にした偏見である。そもそも「帰国子女=外国語(のみ)」と安易に連想することがすでに偏見である。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より一部抜粋)
海外で暮らしていたといっても、この中にもあるように子供たちのおかれていた環境によりいろいろな文化の習得度合いは異なってくる。
タイの場合、街の中の治安というか国全体の生活環境は必ずしも良いと呼べるものではない。
決して皆さんに誤解をして欲しくはないのだけど、タイという国はとっても素敵な国だし、比較的治安も良くて安全な国で日本人が住むことを考えてもとても暮らしやすい国です。あくまで、“大人にとって”ということ。
子供たちにとっての生活環境という点から考えて、安全を最優先に考えるとそこにどうしてもいろいろな制約が発生してくる。
最初驚いたのは、普通の学習塾であるにも関わらず、基本的に各家庭まで通塾バスで送迎をしていたということ。これはバンコク市内にある学習塾では極々当たり前のこと。塾はおろか、学校の登下校ですらバスでの登下校、もしくは車での送迎が基本。
こうした車での移動を中心として、そこに滞在している子供たちの大半は「家」「学校」「塾」の3つの空間を行き来しているだけ。すなわち、直接異国の文化に触れる機会が非常に少ないという現実。
お世話になっていた塾の塾長が常々言ってました。「この子達が日本に戻ったときに、これで本当に『帰国子女』だと胸を張って言えるのだろうか?」と。
たしかに、海外で暮らしているというのは紛れもない事実。その点からだけ考えたらちゃんと『帰国子女』というカテゴリーには含まれるであろう。でも…。
もちろん、すべの子供たちがそうだというわけではない。学年が上がるにつれてそれなりにタイのいろいろな文化を体験する機会は増えていた。たくましく、現地にとけ込んでいる子供たちもいました。
そういった意味で、国によっては海外にある日本という名の狭いコミュニティで暮らしているだけで、受験体制にしても日本と同等もしくはそれ以上に整った環境の中で受験勉強をしているという子供たちに対して特別枠を設ける必要性があるのかどうかも疑問である。
なぁ~んて、今回は大好きな国タイの思い出をネガティブな面からつらつら書き綴ってみたけど、こういったことは旅のガイドブックにも書いてなくて、意外と知られていない海外の現状。たまたまきっかけがあったから思い出し、そして書いてみたけど、これもまた海外の現状のほんの一面に過ぎないということ、そしてあくまで個人の主観で見たこと感じたことに過ぎないということをご理解の上、読んでもらいたい。そして、チャンスがあれば皆さんそれぞれが自分の目でこういった現実を見て欲しいと切に願います。

-代表者ブログ, タイの思い出

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