文部科学省が26日に発表した調査結果によると、全国の小中学生で年間30日以上欠席した児童生徒は13万4398人に上り、子どもたちの数に対する不登校の割合は過去最高を更新し、不登校の厳しい実態が浮き彫りになった形だ。
と、もっともらしく書いてみてますが、細かい数字は抜きにして、そういった現状については普段のニュース等で耳にされていて、大半の方がご存知のことと思います。
実際、Selfishでも相談件数は年々多くなってきています。「相談件数は…」と表現したのは、相談件数に比例して学習支援等の対応件数は増えているかというと、決してそうではないためです。
不登校になった子どもたちの場合、当の本人は張り詰めていた糸が切れる感じで学校に行けなくなっているケースが多いため、その現実の中での自分の身の置き場を見つけることに一生懸命で、まだまだいろんな対応をする(受け入れる)といった状態にはなっていません。しかし、本人の周囲の大人(保護者やご家族など)は、その現実に直面した時に早期段階でなんらかの対処を試みようとするため、その時点でご相談にお越しいただいても本人が介入を拒むケースが多いのでなかなか支援につながらない場合がほとんどです。
ご相談の際にもよくお話させていただくのですが、もし私たちが何らかのお手伝いができるとするなら、それは不登校に対して入りの状態(初期)ではなく、本人が自分の状態を受け入れられている(中期)か不登校自体からの改善傾向(後期)の状態の場合がほとんどです。その状態のときにできることを本人が望んでいるか、本人が学校や社会への復帰を考え始めて、それに対する不安要素のハードルを少しでも下げたいと考えたときにならないと介入が難しいのです。要は、本人の気持ちとタイミングです。
不登校と高校進学
そういった状況で、本人を含め、周囲が心配することの大きな悩みの一つが高校進学です。この点についても、この不登校の実態に関する記事の中でこんな数字の根拠が示されていました。
不登校経験者のうち85%の人が高校へ進学しています。
今は、高校選択の幅がかなり広がり、入試制度の多様化や入学基準における中学校までの内申や学力に対するウェイトが下がったこともあり、高校入学という点だけで見るとハードルはかなり低くなってきています。というより、ほとんどなくなってきているといった感じです。
そういった意味では、仮に不登校状態になったとしても、それで悲観的になる必要はないし、高校進学、さらには大学や短大、専門学校への進学をあきらめてしまう必要はないし、そのタイミングも本人次第でかなり幅が広がってきているし、焦ることなく、ゆっくり考えることができるということを一つの安心要素としては知っておいて欲しいと思います。
だからこそ、以前にも本ブログでも書いたことがありますが、高校『進学』が目標ではなく、高校『卒業』を目標とした長期スパンでのいろいろな取り組みが必要になります。
『進学』する学校がどういった学校なのか?
どういった学校生活が送れるのか?
子どもたちに対する支援態勢は整っているのか?
学習内容の遅れに対するフォローアップは可能なのか?
そもそも、不登校経験のある子どもたちへの理解はあるのか?
そういった尺度でしっかり検討して学校選択をすることが重要であり、そのあたりがきちんとできていてこそ、目標が『進学」から『卒業』へとシフトでき、目標に向けての高校生活を送ることができる新しい一歩が踏み出せるのだと思っています。
不登校問題を含め、なかなか改善の方向性が見出せない現在の教育現場の実状の中で、すべてのことが閉鎖的に進んでいるわけではなく、可能性が広がっている部分もたくさんあります。そういった現状をしっかり認識して、今、目の前にいる子どもたちへの支援とその子どもたちの未来への道を考えていきたいですね。