『がんばる』の語源は『我を張る』

あるテレビドラマの中で、こんな言葉を聞きました。

「『がんばる』。『我を張る』かぁ…。」

すごく短いセリフだったのに、なぜかとても耳に残り、気になったので調べてみました。

すると『がんばる』の語源は『我を張る』という仏教の言葉にあると…。いくつかの説があると言われている中で、自分にはこの由来が一番心に響きました。

ただ、『我を張る』というのは“自我を押し通す”ということ。その意味のまま捉えたら、どちらかと言えばネガティブなイメージをもってしまう言葉であり、そう考えると普段何気によく使ってしまっているこの『がんばる』という言葉の使用そのものの可否すら考えざるを得ない。

以前、この考え方に似たようなことを職場で教えていただいたことがあった。

日本人は、よくスポーツの応援場面などで「がんばれ!!」と応援する。でも、その時点ですでにがんばっている選手にさらに『がんばる』を強要するのはどうなのか?と…。また、その言葉をそのまま英語に置き換えると「Fight!!(=戦え)」となるが、欧米の人たちは決してそんな応援はしない。「Beatiful!!」や「Excellent!!」と言った、その人自身を称賛する言葉で応援をするそうです。実際、昨年末に参加したホノルルマラソンでも、沿道から声援を送ってくれている現地の人たちは「Fun run!!」って言葉とたくさんの笑顔を送ってくれていたのを思い出す。

でも、『がんばる』の語源が『我を張る』であっても、考え方一つで、それはそれで大事な考え方だと言えると思う。

それは、『我を張る』という言葉をどう捉えるかによる。

『我を張る』のはあくまで自分を基準として考えることは間違いない。そして、一般的にこの言葉になるのは、自分が相手に対して自分自身の『我を張る』ことを意味している。そこには、「無理を押し通す」とか「融通がきかない」なんてイメージになり、どちらかと言えば、ネガティブな言葉として捉えられてしまうだろう。

しかし、自分が自分に対して『我を張る』と捉えたらどうだろう?

ここ一番で踏ん張らないといけない時や自分が絶対に譲れない思いを遂げたい時、なにより、自分が自分らしくあるために『我を張る』ことができるかどうかはとても大事なこと。

そのために『我を張る』ことが『がんばる』ことであるならば、それは必要なことであるというより、しなければいけないことになる。そう考えれば、ネガティブな言葉になりがちである『我を張る』ということがポジティブな言葉として存在し、もう一踏ん張りするための大事な力になってくれると思う。

そういう意味で、みんな、自分にも相手にも「がんばれ!!」とエールを送り、『がんばる』という言葉を自然と使っているのが今のあたり前であって、わざわざ力説するようなことではないんでしょうけどね。笑

でも、やっぱり言葉には語源があり、それを知った上で、正しく言葉を使いたい。そして、時には、その言葉の語源を自分なりに解釈し、自分のために使いたい。

言葉は言霊。

いい意味で心に響かせたいものですね☆

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