世界中でいろんな研究がされる中、その中身や結果には賛否両論あり、すべてが正しかったり、すべてが間違っていたり…なんて決定打のような答えがないのが、今の情報化社会の実状。だからこそ、いくつもの情報の中から、より正しいと思えるものや、より自分に必要なものを選択し、自分なりの指針を決めなければいけないところ。
今回の話もその一つと言えるだろう。
ダイヤモンド社のデジタル版、ダイヤモンド・オンラインに、ちょっと怖さすら感じる衝撃の記事が掲載されていた。そのタイトルがこちら。
スマホのせいで偏差値10ダウン!?子どもの脳に何が起きているのか
記事の最初にはこんな風に書かれていました。
記事の中にも書かれていましたが、その原因の一つとして考えられるのは、スマホの使用時間の増加による睡眠時間の減少。実際に、保護者の方からもそういったお話はよく聞くので、素人的にもそう考えてしまう。
ただ、この記事で興味深かったのは、スマホによる『メディア・マルチタスキング』なる聞き慣れない言葉。
読み進めると、その元となる『マルチタスク』という言葉に遭遇。この言葉は何となく聞いたことがある。これに関しては、以下のような説明が書かれていた。
マルチタスクとは、複数の作業を同時にこなす能力のことで、もともとはコンピューター用語です。一見、マルチタスクは良いことに思えますが、一つの事に集中する時間が短いというデメリットがあり、注意機能の低下を招くことも指摘されています。特にスマホは、さまざまなアプリや情報を細かくスイッチングさせるようにできているため、どうしても一つひとつの作業の正確性や効率性が犠牲になってしまいます。
続けて、こんな衝撃的な事実が書かれていました。
私たちの脳は、基本的にシングルタスクを行うよう設計されている。
すなわち、パソコンやスマホといった『マルチタスク』をベースとする機能を持ったものと、『シングルタスク』をベースとする機能の人間の脳では、その働きというか、最大限に能力を発生できるフィールドが異なるということ。それを無理して別のフィールドで作業を行なうことで、結果的に作業効率が下がってしまうという話だ。
中には『マルチタスク』的にいろんなことをこなせる脳を持っている人もいるだろうが、それはごく一部の特別な人の場合の話で、一般的にはそうではない。そして、脳がまだまだ発達段階である子どもたちにとっては、その負荷は大人のそれよりもさらに大きくなるということは想像に難くない。その結果、偏差値が“10”低下するというデータも納得の話だ。
だからと言って、仮にスマホの使用を何らかの形で制限したところで、それがタブレットやパソコンに置き換わってしまっては何の意味もないし、そもそも、今のご時世、そういった便利な物を制限することの方が難しい。
『マルチタスク』と『シングルタスク』の関係性から考えたら、使っている道具云々の話ではないような気がする。人間が便利な道具を使っているように見せかけて、実は、そんな便利な道具に使われているから、こういった問題が起こっているのだと言い換えることもできる。
だとすれば、それも含めて、便利な道具に使われないように、きちんと子どもたちを教育し、育てることが重要なんだという答えに辿り着く。そうすれば、偏差値低下の問題も必然的にクリアになる。
目指すべきところがそこであるのは明確だが、それが簡単にできないから至っているこの現実。
答えは簡単に見つかりそうにない問題だ…。