LDにはいろいろなタイプがあり、その特徴は十人十色です。ここでは、大きく5つのタイプに分けてその特徴をご紹介したいとます。情報量が多くなってしまうので、今回はまずその中の主要な2つのタイプについてのご紹介です。
(1)読み、書き、算数が苦手
医学的に『学習障がい(LD)』という場合にはこのタイプのことを指します。特に学力(学習)に直結するものであり、教育の現場においてもLDの中核を占めるタイプになります。
【読む力】
書かれた文字を読みとる力です。
文字の一つひとつを音にするだけでなく、話の流れ、意味などを読みとるまで、さまざまな力が必要です。【書く力】
文字を書く力です。
音をひらがな、カタカナで表したり、単語を漢字で書く力です。音を聞いて書く力と、自分が考えて書く力とに差がある場合もあります。【算数の力】
計算の力意外に、推論する力、量や空間を計測する力、時間の感覚など、日常生活に欠かせない考え方が含まれます。
この3つの中でも、特に『読み』『書き』を苦手としている子は、大変です。この2つの力は教科に関係なく、学習全般にとって欠かせない力ですから、この2つが苦手だと他のことが決して苦手ではなくても、結果的に全般の学力が伸び悩んでしまいます。
勉強で困り感を抱えている子の支援のご希望の中で具体的に数学(算数)や英語という教科の指導を求められることが多いですが、基本となる『読み』『書き』の力をしっかり育てることが大切であるということを考え、そちらのウエイトを高める必要があります。一見、遠回りをしているように見えますが、実際はその方が近道であり、社会に出て生きていく力として重要なのは断然そちらの力であるということを忘れてはいけません。
(2)言葉を聞く、話すことが苦手
【聞き取るのが苦手】
話を聞くときに、集中力が続かなかったり、注意がそれやすいと、なかなか頭に入りません。【話すのが苦手】
スムーズに話せなかったり、あれ、それなどの指示語を多用したりします。言葉は理解できていても、話をまとめる力にかたよりがある、正しく発音できない(構音に問題がある)など、さまざまな原因が考えられます。【記憶や筋道を立てるのが苦手】
聞いたことをすぐ忘れてしまう、聞き直しが多い子どもは、相手の話したことをとっさに頭にとどめておけない、理解しきれていないことなどの原因が考えられます。また、自分の考えを整理するのに時間がかかると、話すまでに時間がかかったり、あせって上手に話せなくなったりします。
言葉は大きく分けてインプット(入力)とアウトプット(出力)の2つが必要な力になります。どちらが苦手なのかも個人差がありますが、比較的アウトプットが苦手な子が多いです。インプットが苦手な子は文字通り情報自体がうまく取り込めていないので、学習内容だったり、指示内容がうまく伝わっていないことが多いですが、アウトプットが苦手な子の場合は「うまく話せない(伝えられない)」だけであって、インプット自体はしっかりできている場合がほとんどです。
ただ、インプットはできていても、それを「うまく話せない(伝えられない)」ことによって、周囲からはわかっていない、できていないと判断されるケースと、インプット後、アウトプット以前に自分自身の中でうまく整理できていなくて情報が点在し、各情報を紐付けできないために困っているケースの2種類の子どもたちがいます。どちらの場合も、周囲の判断は同じになりますが、そこの違いは大きく、対応や支援の方法が異なるため、しっかり見極めてあげることが必要です。