最低賃金改定と社会の仕組み。ポイントは“バランス”。

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過去最大の上昇。全国平均で26円(3%)引き上げられ、全国平均で874円になる見通しで委員会が決め、今後、都道府県ごとの実際の引き上げ額が決まって秋以降に改定されるということだ。

このニュースを受け、労働者の方々は賃金が上がるという喜びの方が大きいだろう。個人的にも、働く方々の賃金が上がるということは、働くことへのモチベーションにもつながるし、消費拡大などの経済効果にもつながるのでいいことだと思うが、逆の側面から見るべき、賃金上昇による労働者のデメリットという点も考えないといけないということも忘れてはならないと思う。

企業側から見れば、売り上げのアップが見込めない中で人件費や原材料費などが高騰するということは経営そのものを逼迫することとなる。売り上げにおける人件費の比率を簡単に変えて上げられるわけではないことを考えると、必ず、そのしわ寄せは、労働時間の減少であったり、人員削減だったりといった形で現われてくる。簡単に言えば、人件費という決まった予算の中でのパイの奪い合いが起こるのだ。

例えば、時給が30円アップしたことで1日6時間働いていた人が、賃金の上昇に伴い、1日の労働時間が5時間に削減されたとしたら…。

時給800円×6時間=4,800円/日だったものが、時給830円×5時間=4,150円/日となり、実質的には収入減という状態になる。

例えば、同じ時間働けたとしても、賃金の上昇によって社会保険や厚生年金等の対象となり、給与から控除されるようになると、保障自体はよくなるのだが、結果的に手取り額は減ってしまうことになる。

それでも、仕事が継続できればいいのだが、場合によっては派遣社員やパート社員といった立場の弱い人からリストラの対象となり、仕事そのものを失うことにもなりかねない。

賃金上昇どころか、仕事そのものを失うことに…

実際、お隣の国、韓国でも2年連続で10%もの最低賃金の上昇を行なうことで、最低賃金は一気に跳ね上がり、労働者は大喜びなのかと思いきや、それが失業者の拡大につながっており、労働者自らが雇用の保護を求めてデモ行進を行なってニュースになっている。

先にも述べたように、企業としては売り上げが上昇しているわけでもない中での人件費の上昇に対応するには、人件費の削減=従業員数の削減を行なうしかなく、その結果、解雇される人も大変だが、残る人も仕事的には負担増になり、これも大変になる。それをせず、仮にその企業が倒産などということになれば、さらに多くの失業者が生まれることになる。

また、そうでない場合の企業側の対策としては、海外のより低い人件費で生産ができる国へ生産拠点を移したり、可能な範囲での生産の機械化などが行なわれたりして、これもまた国内で働く人の必要性がどんどん下がって人員削減の要因となり、失業者を生み出すことにつながってしまう。

表現として適当ではないかもしれないが、結局、需要と供給の関係性と同じように、単に労働賃金という労働に対する対価という一面性だけで捉えるのではなく、社会経済全体を通してのバランスもしっかり考えないといけないということであり、一面性におけるいい面ばかりを期待し、強調していると結果的に自分たちの首を絞めてしまうことにもなりかねないということだ。

長々と書いてきたが、決して、経済について論じたいわけではなく、こういった題材を通して物事の本質を多面的に捉え、知った上で物事を考え、判断することがとても重要であり、子どもたちにそのことをしっかり知ってもらいたいし、学んでもらいたいという話だ。それはまた、裏を返せば、我々が、子どもたちにいろんなことを教える上で、そういう物事の味方や考え方をしっかり教え、考えられる力を身に付けさせてあげないといけないということであるという自戒の念を込めての話でもある。

何事においても、“バランス”がとても大切ということですね。

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