春来草自生

「自然の流れに逆らわず

その年齢にならなければわからない心境。そのときが来なければわからない心境があります。
春が来たれば、草は自然に生えてくる。草が自分の意志で生えてくるには、その時を待つ以外にない、という禅語です。
親がどうの、上司がどうの、先生がどうのと言ったって、言われたから仕方なくやっているうちは芽は出ません。本人ひとつも気が入っちゃいない。にこにこしながらやっているのは顔色を窺うからで、嫌なら嫌という方がましかもしれません。
自分からやる気にさせるには、その「時」を待つことです。今からやっておけば将来有利だとか、コツを教えてくれれば若くたって修得できるはず、と思うのは拙速。
無理矢理秋に芽を出してみたら、幼いうちに冬が来て、いっぺんに凍えてしまうのが関の山自然の流れには逆らえません。

『春来草自生』=「はるきたらばくさおのずからしょうず」と読むのだそうです。
生徒の保護者の方々からよくご相談を受けます。
「先生、うちの子、全然“やる気”にならないんですけど…」と。
もちろん、いろんな形で指導や支援をさせていただく中で、子どもたちに“やる気”を持ってもらえるように導いていくことは大前提として考えていますが、ある意味これが一番難しいことであります。
保護者の方々がそれを期待されているように、我々もそれを期待し、待っているのです。
ここにも書かれているように、その「時」がくるのをじっと待つ。
でも、ただ単に待つだけではなく、できる限りの手を尽くしながら待ちます。
それでも、簡単にその「時」は来てくれません。
保護者の方々が、その「時」が少しでも早く来ることを望まれる気持ちはよくわかります。
それが焦りになり、子どもたちへのプレッシャーになってしまうと、その「時」が来るのが逆に遅くなってしまうこともあります。
だから…。
その「時」が来るまでにはとっても時間がかかることを理解してあげてください。
そしてなにより、その「時」は必ず来ることを信じ続けてあげてください。
信じて待つ…。
最善を尽くしながら、とにかく待つ。
あきらめずに、ひたすら待つ。
ただ待つのではなく、ちゃんと見守りながら待つ。
ちゃんと見守っていると、その間の成長が、ほんの少しずつの成長が見えます。
そのほんの少しの成長をしっかり褒めてあげながら、その「時」を待ち続けてください。
そうすれば、子どもたちはきっと見せてくれます。
その「時」を…。
その成長した姿を…。
子どもたちの“やる気”は必ず育ちます!!

-禅の教え

© 2024 NPO Selfish(セルフィッシュ)