小中学校などで障害のある子とない子がともに学ぶ環境をつくるため、文部科学省は専門家や支援員を学校などに配置する方針を決めた。教室で重度の障害のある子のケアをする看護師や、教員に教え方を助言する専門家の手を借りる場合、国が費用の一部を補助する。来年度予算の概算要求に15億円を計上する。
障害のある小中学生は、昨年5月時点で特別支援学校に約6万9千人、特別支援学級に約18万7千人。通常の学級に所属しながら特別な指導を受けている子も約8万4千人いる。いずれも10年前に比べて増加しているが、自治体によって専門家のサポートはまちまちで、教員が中心に対応していた。ただ、他の子の勉強や生活も見なければならない教員には1人にかけられる時間に限界がある。そこで、看護師約1460人や、特別支援学校OBなどの協力員約350人、理学療法士などの専門家約430人などの配置を目指す。
(朝日新聞 2015年8月27日掲載)
とてもいい取り組みというより、絶対的に必要な取り組み。障がいによる困り感を抱えているこどもたちだけでなく、その子たちを支えているご家族の方々、そして現場の先生方など、みんなの負担を少しずつでも軽減するには専門的な知識や経験を持った人たちのマンパワーを現場に増やしていくしかない。
もちろん、そこには人件費などの予算の問題も絡んでくるため、単純に理想論だけで語ることはできないが、そこをどうにかしてクリアして前に進まなければいけない問題だろう。
そういった意味で今回のこの文科省の方針は大きな一歩だと思うが、発表されている予定人数を見ると看護師、特別支援学校OBなどの協力員、理学療法士などの専門家を合わせて約2,240人。47都道府県に均等に配置したと仮定したら約50人弱という数。この人数でどの程度サポートの体制が推し進められるのかはいささか疑問ではあるが…。
それでも環境改善に向けて一歩前進したことを素直に喜んでいいのだと思う。さらなる充実は、そこから先の話。