キー・コンピテンシー育成論。今、日本に求められているのは…

キー・コンピテンシー育成論。

聞き慣れない言葉だと思いますが、世界の教育を見て、今の教育を考える上で欠かすことのできない考え方の一つです。

キー・コンピテンシー育成論とは『学びの評価基準として知識の習得する力やその結果を重視するのではなく、獲得した力を使ったり、その力を応用できたりといった展開する力やその結果を重視する』という考え方で、そういった力を育成することとでも言えばいいでしょうか?

もう少し簡単に言えば、これまで教育の場で重要視されてきた知識をどれだけ持っているかという“インプット”することではなく、その知識をいろんな形で“アウトプット”でき、次に結び付けることができることを大切だと捉える考え方です。

勤勉な気質をもつ日本人という民族は、地道に知識を習得し、それに従って決まった形での作業の連続性を持続することに長けており、それによって今の一つの繁栄の形を作り上げてきた部分が大きいと思います。

ただ、多様化していく今の世界の状況や在り方の中では、そういった画一的な力だけでは太刀打ちできなくなっている中で求められる力をどのように身に付けていくために、教育の中味や指導の方法等も大きく舵を切り、入試等もその結果を問うような形へとシフトしています。

それにいち早く対応し、教育カリキュラムに取り入れた国がPISA(国際的な学習到達度調査)で結果を出し、さらに注目を集めていることで、教育界もそちらの方向に傾倒している部分も大きいと思います。近年では、2018年のPISAで一躍世界のトップクラスに上ってきたエストニアが『エストニアの奇跡』として注目を集めています。

もちろん、その結果に至った背景は、決してキー・コンピテンシー育成論の成果だけではないはずですが、そこに大きな成果があったことも間違いのない話だと思います。

また、これもあたり前の話ですが、こんな形で教育の現場で求められている力は、社会人になって仕事の中で求められるそれと同じ。職種別の専門的な知識を得ること、仕事のルーティーンを覚え、基本的な仕事をきちんとこなせることで仕事をしたつもりになっている人が多いが、本当の意味で求められているのはその先の力。知識や経験を活かして、そこからさらに発展させたり、応用させたりできてこそ、ワンランク上の仕事として認められるし、職場はそんな人材を求めています。

教育の現場で求められる力は、社会に出て求められる力。今の世界の中で、日本の力、日本の評価がどんどん低下している現状から考えると、日本には教育を基本とする人間育成の在り方の再構築が求められていると思います。

教育はもちろん、日本全体がしっかりと再建できていくといいですね。

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