理想と現実の狭間。学生の教員志望離れに拍車が…

「教員志望の学生がどんどん現状している…」

「卒業時に教員免許を取得しても教員にはならない…」

そんなことを言われて久しい教育現場。約30年前、自分自身もそのうちの一人だった。もちろん、その理由は人それぞれであり、その選択がいけないとか間違っているという話ではない。その現実の先にある、この日本における教育現場の抱える問題や子どもたちの学びの保障がどうなるのかが、教育界の隅っこでその一端を担っている立場として気になり、ちょっと触れてみたい。

今さらの話であるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学校教育の現場は混乱を来たしていることはみなさん周知の事実。そんな中で、ここ最近、社会に出る目前の教職希望の学生の動向にも変化が起こっているというニュースを2つ目にした。

1つは、休校措置などの関係から、教育実習などを行なうことが難しいため教員免許取得自体に支障が出ることで、来春に教職を目指していた学生が困っているというもの。

これ自体は、国や大学の対応次第で、特例ではあるが、教育実習の単位を違う形で習得したり、単位の読み替えを行なったりすることでクリアできる可能性はある。しかし、実際に教育実習によっての現場を経験できなかったり、その経験が少ないままで教育現場にでることは、学生本人の負担が大きくなることも予想されるし、そもそもそれできちんと教職として求められている役割が担えるのかという疑問にならないとも言えない。

いずれにせよ、教職を希望している学生が、その夢を絶たれるということ自体が問題であると同時に、教育現場にとってもなり手が少なくなってきている教職希望者がさらに減ることは大きな痛手であることは間違いない。

もう1つは、今、混乱している教育現場の実状が報道されることで、現場の大変さや先生方のご苦労を知れば知るほど教職希望者の学生がネガティブなイメージを持つのと同時に、そんな現実を見て、現場に出た後に疲弊することを心配する教職希望の学生の保護者の反対も大きくなり、教職を断念する学生が増えているとのこと。

昔は子どもたちが憧れる職業の一つだった(はず…)の教職が、今はランキング外という現実。それも、他の職種の人気が上がったことにより落ちたわけではなく、教職の魅力そのものが失われ、「なると大変」な職種のように思われていることは本当に悲しいことであるが、と同時に現実であることも否定できない。

ここ数十年の間に教育現場に起こった様変わり。それは単に多様化の時代背景の中で求められるものが増えただけではなく、保護者の考え方や教育現場に求めるものの変化、子どもたちの変化、学びの本質の変化など様々な要因があり、そのどれか一つが悪いというわけではなく、総合的に日本の教育が衰退していることの現れだと思っており、とても由々しき現実であると考える。

ただ、いまさらそんなことを嘆いていても仕方ないので、教職希望の学生の理想と現実の乖離を少しでも減らすことや教職を夢見る学生が増えること、そしてその夢を叶えることができる道筋がきちんと構築できる日本であって欲しいと願う☆

理想と現実の狭間で、教職を断念した人間のひとり言ですが…。苦笑

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