不登校の子どもたちへの対応。【その2:目指す先はどこなのか?】

『不登校』。

言葉の通り、学校に行けていない状態。なので、学校の先生を始め、周囲の大人たちが対応をする際に、目指す先は学校への復帰であり、それが国の方針でもある不登校対応の基本でした。

それが今、国の方針も含め、少しずつ変わりつつあります。

簡単に言えば、『学校に戻ることが目指す先ではない』という方針になってきているということ。先にも書いたように、『不登校』という状態だけを考えると、『登校のできていない状態』から改善方向としては登校できるようにする、すなわち学校に戻ることを一つのゴールとするのがこれまでの考え方の主でした。その根底には、特に小・中学校における『義務教育』という考え方があり、学校に行って教育を受けることが『義務』のようになっていたのだと考えられます。

しかし、これらの考え方は『義務』という言葉の捉え方により、いろんな意味で解釈することができ、その解釈の違いによって出てくる答えも対応の仕方も変わってくるはずなのに、学校に行くことが唯一無二の答えのようになっていたことが、問題をさらに大きなものへとしてしまっていた気がします。

また、子どもたちにとって社会の中で生きていく場は家庭と学校だけではなく、他にもたくさんあるはず。もちろん、そうなったのは時代の変遷によって社会が多様化したことが大きな要因であり、そういった時代背景によって、今現在の実状としてたくさんあるというだけの話であり、以前のようにそういった多様性の社会ではなかった頃は、『学校に戻る』というのが答えとして出てもおかしくなかったと思いますが、今では他にたくさんの選択肢があるのだから、必要に応じて学校以外の選択をしても答えとしては正解だと思います。

そういった意味では、時代の変化に合わせて少しずつ社会が対応し、国もその現実を受け止め、子どもたち一人ひとりの育ちや学び、権利について考えて方針を変えていくことは自然な流れであり、当事者や保護者、支援している側の目から見ればすごくあたり前のこと。

ただ、支援している側の人間として、決して「学校に戻る必要がない」なんて思っているわけではなく、できるならば、「子どもたちが本来いるべき場所に居させてあげたい」「学校に行って学生時代にしか経験できないたくさんのことを学んだり、経験したりして来て欲しい」と願っています。でも、現実は、それがなかなか難しい場合が多いので…。

不登校になった子どもたちの目指す先は、一人ひとりの生きている環境や、今のその子を取り巻く環境、そして見ている未来によって違う。だから、学校に戻るか戻らないかという二者択一的な選択で収まる話じゃないし、本当に目指すべきところはもっともっと先。

まず、守るべきは、不登校で悩んだり、困っている子どもたちの今であり、その先にある未来。

『不登校』であるという状態をもう少し緩やかに捉え、本人も含め、まわりの大人と一緒に未来に向けての準備を少しずつ進められるといいですね。

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