限局性学習障害

eラーニングによる教員免許更新講習のお勉強。3つ目の単元に入りました。

今回チョイスした単元は『教育の最新事情』。更新講習の中でも一番基本の内容であり、もちろん必修科目。その単元名の通り、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校という全領域にわたっての教育現場での現状や最新データによる動きなど、すごく勉強になります。が、その分、すごく難しいです…。苦笑

前半の中で特に勉強になっている内容は特別支援に関する分野。日進月歩する医学の世界だけに、診断名だったり、診断基準だったりという部分も気が付けば変わっているので、情報的に追いつけてない部分もあるため、こういった機会に最新情報を学ぶのは非常に有益です。

その中でも今回は、「学習障がい(LD)」に関しての情報のご紹介と思うところを少々。

まずはこちらをご覧ください。

1.不正確な読み、時間がかかる読み方、苦労して読む。
2.読んだことの意味が取れない。
3.綴りが覚えられない。
4.文章を書くことが苦手。
5.数感覚、数的事実、計算などの修得が困難。
6.数学的推論が苦手。

現在、一般に「学習障がい(LD)」と呼ばれていますが、DSM-5の新しい診断基準と名称では『Specific Learning Disorder』と呼ばれ、日本語では本ブログのタイトルでも示している『限局性学習障害(限局性学習症)』と訳されています。そして、その診断基準は『上記6項目の学習スキルの修得と使用の困難の1つ以上が6ヶ月以上続いている』とされています。

加えて、上記6項目に関しては読んでいただければなんとなくイメージが沸くと思いますが、1.と2.が国語、3.と4.が英語、5.と6.が算数(数学)という教科的な判断になっていますが、決して厳密なものではなく、学習場面においては、各項目が教科の枠を超えて関わり合ってくると考えられます。

この点だけ見ても、これまで「学習障がい(LD)」は書字障がい・読字障がいといった国語系と計算障がいといった算数(数学)系の2教科に関するものが中心でしたが、小学校での英語教育の実状も踏まえて、英語に関する基準も盛り込まれている点だけを見ても大きな変化を感じます。

増加する対象児の数

もう一つ、この基準を見ただけでも気になるところが、その判断基準のレベルです。これらの項目に関して1項目以上で困難さを感じている児童・生徒というくくりでまわりを見渡すと、基準にひっかかるのでは?と感じる子がたくさんいます。

みなさんも感じられていることだと思いますが、ここ数年、医療機関において診察や発達検査を受けて、診断がつく子が非常に多くなっています。その現実だけを見ると、昔に比べて、現在は発達障がいを抱えている子が増えているの?って単純に思うかもしれませんが、決して、そうではなく、判断基準そのものが下がってきていることで、そのフィルターにかかる子が増え、結果的に診断名がつく子が増えていることにより対象児が増えていることが、対象児の比率の増加につながっていると考えられます。

簡単に言えば、ある基準を推し量るべきものさしが変わることで、結果が変わるということであり、子どもたちの現状自体が現在と以前とで変わってきているというわけではないということです。

しかし、現実に学校現場や教育現場においては、そういった子どもたちを含め、すべての子どもたちに対してこれまで以上に掘り下げた理解が必要であることと、これまで以上に広く、多岐に渡った形での対応や支援が必要になっていることは間違いありません。それは、特別支援教育と言われる分野に特化した話ではなく、教育界全体において必要なことであります。

そういった意味で、どんどん進み、変わっていく教育を取り巻く環境やそこに関連してくる分野の新しい情報や知識を、我々教育者は元より、保護者もしっかりアンテナを張って収集し、そして理解し、現場で活かすことが重要です。

世界が変わり、取り巻く環境が変わっただけで、決して子どもたちが変わったわけではない。

そのことをきちんと理解するためにも、大人もまたいろんな意味で変わる必要があるのだと思います。

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