学習においてはもちろん、それ以外の場面においても、自分自身の成長を考えた時に『自分で考える』ことはとても重要なこと。
その『自分で考える』という中で大きなポイントは2つ。
(2)不明瞭な点を、疑問点として解決に結び付ける努力をする。
この2つの段階がきちんと行なえるようになると子どもに限らず、大人であっても大きく成長することができるのだが、この2つのポイントを自分のものにできていない子が非常に多い。というより、子どもたちの環境の中で、そこがなかなか成立しにくい状態にあるのが実状だ。
例えば、(1)について言えば、学習指導要領の中でも論理的な思考や考察などが重要視されてはいるものの、実際には学習内容が多過ぎる&学習のスピードが早過ぎるためにじっくり論理的に考えることができにくく、したがって、自分の中で不明瞭な点とその内容を明確化するだけの余裕がない場合が多い。ただ、こちらに関しては、自分で学習時間を確保したり、授業外の学習の中でそういった時間を取ることが可能である。すなわち、自分の努力である程度改善することが比較的容易な内容だ。
これに対して(2)はそれができにくい環境が成立してしまっているため、なかなか改善するのは難しい。その大きな原因となっているのが「はい!!」という返事の存在だ。
具体的に言うと、先生が子どもたちに説明をした後に「わかった?」と聞かれた際に子どもたちは元気に「はい!!」と返事をする。だが実際に、この「はい!!」は問い掛けに対しての返答という意味合いが非常に強く、本当の意味で理解できているからの「はい!!」ではない場合がほとんど。もちろん、中には本当にわかっていて「はい!!」と答えている子もいるが、その返事につられて、わかっていない子も「はい!!」と答えている。
本来、その場面で自分が本当にわかっていないのであるならば、「いいえ。」とか「わかりません。」と答えるべきなのだが、みんなが「はい!!」と答えている場面でそれをいうことはとても勇気がいることだし、「よくわかんないけど、まぁ、いいか。」って感じの子が非常に多い。すなわち、不明瞭な点を、疑問点として解決に結び付ける努力がまったくなされていないということなのだ。
別に日本人だけがそうであるというわけではなく、他の国でもこういった傾向はあるのかもしれないが、一般的に欧米では先生の質問に対しては子どもたちも質問で返すことで議論が深められ、より深く理解しようとする傾向にある。すなわち、わからない場合でもそれをきちんと質問できる環境が整っているわけであり、子どもたちにとってはそれがあたり前の環境でもある。
その学びに対する姿勢や環境の違いが、子どもたちの成長に大きな差となって現れるし、『自分で考える』ことの大きな妨げになってしまっているのだ。
まず、先生が聞ける環境作りや習慣化に向けた授業を行なうことが大切だということ。
そして『自分で考える』ことのできる子どもたちに育てていきましょう☆