女性の発達障がい

発達障がいは、現在のいろいろな研究が進められてはいますが、その原因などはまだまだハッキリしたものがわかっていません。また、医学的に、発達障がいの発現率も男性の方が多く、男女比は3~4:1だと言われています。

しかし、最近の研究によると、その男女比はもう少し低くなっていて、その差は小さくなりつつあるとの見解も示されています。

では、なぜそのようなことが起こるのか?

それは、女性の発達障がいについてはあらわれる症状や特性に男性とは違いがあり、発達障がいの状態像にも性差があるからではないかとする説に加えて、その状態像から女性の発達障がいが見過ごされやすいということを発達専門のお医者さんが言われています。

見過ごされやすい3つの理由

女性の発達障がいが見過ごされてしまう一番大きい理由は、その特徴が男性ほど明らかにはあらわれない。

【アスペルガー症候群】
こだわりの強さやコミュニケーション面の困難さを特徴とする発達障がいですが、男性の場合は幼少期からその傾向が目立つ一方で、女性の場合は特徴が目立たず「人間関係の悩み」として、その特徴が現れてきます。

例えば、女性同士のグループでうまくいかず孤立してしまったり、ガールズトークについていけないなどです。

アスペルガー症候群の女性は、本人に悪気がなくても失言や暴言などが出てしまったり、また女性特有の非言語的なコミュニケーションが苦手なために、人の表情や仕草から暗黙の了解を知ることができないからです」

【注意欠陥/多動性障害(AD/HD)】
男性だと幼少期からそわそわと落ち着かない『多動性』と、手が出やすいといった『衝動性』がよく現れますが、女性の場合はこれらが見られず『おしゃべり』『いつも予定がいっぱい』といった特徴が現れます。

またミスも多いのですが、幼少期にはおっちょこちょいで済んでいるものの、大人になって『失礼だ』と言われることが増えて、AD/HDの可能性に気づく場合があります。

コミュニケーション力が高いゆえに見過ごされる

女性は男性に比べて言語能力やコミュニケーション力が高いため、発達障がいというよりは個性と捉えられて見過ごされている場合が多いのです。

例えば、アスペルガー症候群の場合、男性では会話のすれ違いが幼少期から出るため、人間関係をそもそも築けない人がいる一方、女性はある程度の社会性やコミュニケーション能力があるために、10代になってから困ることが増えてきます。これは、女性同士のガールズトークが複雑になってくる時期と重なっています。

女性は10代を過ぎると非言語でのコミュニケーションを重要視するようになり、話が複雑になってくるため、テンポよく会話を受け答えすることや、恋愛・ファッションなどの他愛ない話についていくことができなくなってくるのです。

診断基準が女性に合っていない

そもそもの問題として、発達障がいの診断基準が女性には合っていないのではないかという説もあります。
アスペルガー症候群は、もともと男子の発達障がいとして認識されていました。AD/HDについても幼少期には男子が多かったため、診断基準が男性向けになっているために、基準が該当する状態にならず、診断が出ない場合もあります。

また、女性の場合は、アスペルガー症候群とAD/HDも混同される場合がしばしばあります。

女性の発達障がいで特徴的な『片付けられない』ということを例に取ると、こだわりが強く、持ち物を整理するのに時間がかかって、その結果部屋が散らかっているように見えるアスペルガー症候群の場合と、不注意の特性に対処するために、使えそうなものは全て持ち歩いたり、いつも同じ確認行動をするなど独特の行動パターンがこだわりの強さに見えてしまうAD/HDの人の場合です。

このような理由から女性の発達障がいが見過ごされやすく、男性に比べてある程度成長してから困ることが増えたり、診断がつくケースが多かったりするようです。

同じ障がいであっても、その現れ方や時期に男女差があるということをしっかり理解した上で、一見そうでないと見えている場合でも本人が困り感を抱えている様子などがあれば、障がいの可能性も考慮しながら、適切な対応を心がけてあげることが必要ですね。

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