日本とアメリカの特別支援教育の違いについて

あるサイトのコラムで教育について書かれた記事の中に、日本とアメリカの特別支援教育の違いついて書かれているものがありました。アメリカの小学校や地域の施設で、障がい児に対して音楽療法をされていた方が書かれた記事でした。

勉強不足の私も、それとなく聞いたことはあったものの、ここまできっちりとした内容を知るのは初めてで、この記事を読んだとき「日本の特別支援に関する考え方や現実の対応はこんなに遅れているんだ…。」と、かなり考えさせられました。

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そこに書かれていた、重要な6つのポイントをご紹介させていただき、ちょっと考えてみたいと思います。

アメリカの特別支援教育に関する6つのポイント

1.障がいをもったすべての子どもに教育を受ける権利がある

21歳以下の障がい児は、「無料」で「適切な教育」を受けることができると、法律で定められています。どのような障がいがあっても、子どもには教育を受ける権利があるのです。

また、子どもにとって「適切な教育」とは、ひとりひとり違うので、その子のニーズにあった教育プランをつくり対応します。(→詳しくは4&5をご覧ください)

2.家族には金銭的負担はない

障がい児の教育に関して、家族に金銭的負担はかかりません。経済的な理由で、教育を受けられないということはありません。

3.障がい児に教育を提供するのは、学校の義務である

公立の学校は、障がい児のニーズに対応した教育を提供しなければいけません。そのためには、子どもが学校に通えるように、エレベーターやスロープをつけたりして環境を整える必要があります。

また、授業で使う教材やAssistive technology(学習を支えるコンピューターなどの機材)も提供します。つまり、学校は障がい児に健常児と同じ学習環境を提供する義務があるのです。

4.子どもひとりひとりのニーズに対応するための教育プラン(IEP)

IEP(Individual Education Program)とは、障がい児に必要なサービスやセラピー(言語療法、作業療法、音楽療法、など)を取り入れた教育プランです。さまざまな専門家によって作られるもので、親の意見も取り入れられます。

毎年、600万人以上のアメリカの子どもがIEPを利用しています。私が住んでいたオハイオ州では、およそ15%の子どもたちがIEPを利用していました。

5.障がい児の教育は早くはじめた方が良い

3歳以下の障がい児のために、IFSP(Individual Family Service Plan)というプランがあります。障がい児教育は早くからはじめた方が効果的であることが、研究結果から明らかになったためです。

IEPの焦点が児童の教育にあるのに対し、IFSPは家族への支援に焦点があてられます。

IEPやIFSPに音楽療法が入っていることも珍しくありません。音楽療法も含め、教育プランに入っているサービスは、家族に金銭的な負担なしで提供されます。

6.障がい児は、なるべく制限の少ない環境で学ぶべきである

障がい児も健常児と一緒に、近所の学校に通うのが理想的、という考えです。インクルージョン・クラスルームと言って、障がい児と健常児が一緒に勉強します。

インクルージョン・クラスルームは、障がい児にも健常児にもメリットがあります。障がい児が将来社会で生きていくためには、健常者との接し方を知らなければいけません。また、健常児が幼い頃から障がい児と触れ合うことによって、障がい者との接し方がわかる大人に成長するのです。

引用元:アメリカの特別支援教育について知らなかった6つのこと

日本の基準との違いから考えると「スゴイ!!」って思っちゃいましたが、よくよく考えれば、ごくあたり前の内容ばかりのような気がします。

特別支援教育というものをどう考えるべきか?

学校というコミュニティーが、一種の社会の縮図と考えるなら、子どもたちはその環境の中で社会に出て必要とする力を学び、身に付ける環境であるべきです。そして、そこで暮らす人々に必要な福祉的施策があるなら、それは公的資金によって行なわれるべき社会整備であると考えるなら、地域の学校に通うという方向性とそのために必要な整備を行なうことも同党ではないかと考えられます。

そのあたりは、今の日本の教育現場にはないものであり、現実化するには大きなハードルがあるもので、アメリカとの違いの根底のような気がします。

とは言え、上記内容と日本の実情があまりにもかけ離れてしまっているわけではないと思います。ただ、日本の場合、特別支援教育というものをその言葉の通り“特別”として捉え過ぎ、そこに対して明確な線引きが強過ぎるところが、一番の大きな違いではないかと感じました。

特別支援教育の“特別”はあって“特別”ではないもの。矛盾する話になっちゃいますが、普通の中の特別であり、特別の中の普通であるという考え方をきちんと根底に持てなければ、教育の平等性の実現なんて夢のまた夢…。

アメリカがすべてにおいて上で、日本が完全に遅れているとは思っていません。ただ、社会における特別支援教育に関する認知や社会性との連動・融合という意味ではその差は大きいのではないかと感じています。

まずはそういった意味でのアメリカとの差が少しでも埋まるような方向性に日本の教育現場が向上していくといいですね。

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