『計算ドリル』通称“計ド”。
僕らが子どもの頃からずっとあって、小学校の宿題の定番ともいうべきもので、その名を聞くと「懐かしいなぁ〜☆」と思われる方が大半だと思います。
しかし、一昔(以上)前と今では、大きく異なっていることがあります。それがこれ!!
計算ドリル“ノート”という専用のノートの存在。
現役、もしくは少し前まで小学生のお子さんをお持ちの保護者の方や、子どもたちの勉強に関わっている人たちにとってはあたり前のようにご覧になっているものですが、そうでない方にとっては、見るのも聞くのも初めての存在だと思います。
このノートがまたよくできているんですよ。中身はこんな感じ!!
ちゃんとドリルのページ番号が印字されているのはもちろん、番号から挙句の果てに式の書き方の見本(なぞり書き用)まで印刷されている優れモノ。とっても便利にできています。今日も、授業の中でKちゃんがこのノートに計ドの宿題をしていて「すっげぇ~なぁ~。」としみじみ思いながら見ていたのですが…。
すごく便利なノートだと思います。でも、こんな至れり尽くせりのノートなんて使ってて、ほんとにいいのかなぁ…???
計ドの基本は、直接書き込まず、ノートにやることで何度も反復して練習することで苦手を克服することにあると思うんだけど、こんなノートを与えられると、やるべき場所が決まっているので、同じページを2回目以降させようと思ったら、「そこもうやったし!!」なんて言う子がほとんど。反復利用しないような使い方をするドリルなら最初から書き込み式に物を利用すれば、逆にノートなんていらないはず。
加えて、自分でノートの中での配置や大きさを考えて書いたりする工夫なんて必要ないので、ノートを上手に使えるようになる可能性が入り込む余地なんてなし。指導する先生の立場では使い方から書き方まできちんとすでに記されているノートを利用すれば、ノートの書き方などを別途に指導する必要もないから授業時間を他の指導に使えたりして便利なのかもしれないけど、そこは端折る部分じゃないと思うし、反復→定着を図るための指導に子どもたちが素直に従い難い道具を利用するのはいかがなものかと…。
もちろん、ちゃんと考えている先生やご家庭では、別のノートなどを利用して有効に学習していることは間違いないんだろうけど、指導する立場として、見ていて今一つ釈然としない。
子どもに限らず、大人でもそうなんだけど、頭や手を使う必要のない便利な道具をどんどん開発することで、使わない力が成長する機会を失い、下手をすれば退化(元々、成長していないのが現実だが…)する。そう考えると便利なモノも善し悪しだ。
便利さとともに失う力、身に付かない力を残念なことと感じ、力を育てることを優先的に考えるツールの開発&使用を目指して欲しいものだ。