先週と今週の土曜日の2週にわたってNHKで放送された『スロースタート』を今日やっと見ることが出来ました。
テレビっ子を自認しているのですが、最近はいろいろと忙しくてゆっくりテレビを見る時間がなく、DVDのHDDの中はかなりたまってます
まぁ、そんなことはいいとして…。
ニート・引きこもりなどの若者の社会復帰を支援するNPO法人の活動を描いたドラマ。皆さんはご覧になりましたか?
ドラマを見ていて、今までの自分の経験とオーバーラップするところがたくさんあっていろんなことを思い出しました。
以前かかわった子(当時中学生)は、お父さんの仕事の転勤の関係で倉敷に越してきて、転校が原因で不登校になりそのまま引きこもりに。
その家に通い始めた当初は、いくらこちらが話しかけてもまったく返答もなく、一緒に過ごしている数時間の間まったく無言で二人で一緒の部屋の中に居ただけでした。
それから少しずつ、テレビ、ゲーム、本といったその子が興味を持っていることから徐々に話し始めて、やっといろんな話が出来る仲に。
その第一段階を越えたら、次のステップである外出に向けてのアプローチ。
その子が興味をもっているゲームや本を買いにいくことを口実に外に連れ出し、一緒に外を歩きました。
極めつけは“馬”。競馬ゲームが大好きで、馬の話になると目を輝かしていた彼のために、知り合いに頼んで競走馬のトレーニングセンターでの見学許可をもらい、そこで調教の様子や馬のお世話をしている様子を見せてもらったり、実際に馬に触れさせてもらったり…。
その時の、彼の嬉しそうな笑顔は今でも覚えています。
その頃からだんだん社会復帰できて普通の生活が送れるようになり、苦労はしましたが、きちんと高校にも進学して卒業してくれました。
今ではどちらかというと、普通よりも少しやんちゃなぐらいになっていますが、社会人として元気にがんばっているようです。時々会いに来たり、連絡をくれることがとても嬉しいです。
他にも、不登校で学校に行っていなかった子の場合は、夜中にご両親とケンカをして飛び出してしまい、途方にくれてこちらに連絡をしてきました。待ち合わせの場所に迎えに行って、そのまま二人でしばらくドライブ。夜景を見ながらいろんな話をしました。
気持ちが落ち着いた彼を自宅まで連れて行き、ちゃんとご両親と話をしてなんとか家に戻れることに…。
それからは少し落ち着いて、最終的にはきちんと高校進学をすることは出来ましたが、残念なことに卒業することは出来ませんでした。
他にも今までかかわってきたいろんな子のことを思い出したりしながら、「なるほど…」とか「そうなんだよなぁ…」と思いながら、そういう人たちにかかわる仕事の必要性を再確認させてもらったドラマでした。
みんなそれぞれいろんな原因や理由があって、不登校や引きこもり、ニートになったりしているけど、その大半の人は決してそのままでいいとは思っていないんです。でもどうすればいいのかが分からず、ただそこに立ち止まっているだけで…。
実際に不本意ながらそうなってしまった人たちにかかわってみて感じることは、どちらかというと真面目な子や頭のいい子に多いということ。
真面目すぎて、まわりの人間関係に余裕が持てずに自分を追い込んでしまったり、頭がいいのでいろんなことを考えすぎてそれに疲れて自分の殻に閉じこもってしまったりしている人が非常に多いんです。
また、自分が実際にかかわったり、今回のドラマを見てて一番大事だと思ったことは、一番近くにいるご両親の考え方と気持ちの問題。
子供のそういった状況をまるで病気のように考えて、専門家に依頼して“治す”という考えで接しようとしたり、専門家に相談する以前に、“恥ずかしいこと”と考えてその事実を認めようとしなかったり、隠してしまおうとしているという事実。
ご両親がそういう状況に陥ったときに、どう対処すればいいのかが分からず困ってしまい、そういう風に考えてしまうう気持ちはよく分かります。
でも大変だと思うけど、その現実をきちんと受け止めてまわりの協力を得ながら、心できちんと向き合って接してあげることが一番大切だと思います。
だって、ご両親も辛いでしょうけど、本当に一番辛いのは本人自身なのだから…。
自分にとってもとてもためになるいいドラマでした。
「スロースタート」。新しい一歩を踏み出すためにはとても大事なことですね。
※このドラマを見逃してしまった方、興味を持たれて見てみたいという方はDVDでお渡しすることが出来ますので、こちらまでご連絡ください。
スロースタート