発達障がいのある子たちの伸ばすべきところ⑤

⑤『支援のポイント【国語・漢字】編』

国語の勉強で避けられない&子どもたちが苦手なものの一つに漢字があります。文部科学省が学習指導要領の中で定めている、小学校で学ぶべき漢字は1年生80字、2年生160字、3年生200字、4年生200字、5年生185字、6年生181字の合計1,006字。改めてこうしてみても、1,000を超える漢字を覚えるってとっても大変なこと。

加えて言えば、漢字の学習ではただ書ければいいというだけではなく、書き順や、音読み・訓読みといった読み方、さらには、部首だのへんだのつくりだのといった要素まで加えると学習内容は多岐に渡る上に膨大な量になります。さらにさらに、熟語や同義語、対義語などなどまでを考えたら、「もしかして漢字の学習量は無限大?」と感じるぐらい、とんでもない量になります。それらすべてをきちんと学ぶなんて至難の業…。

小学校で習う漢字だけでそんな状態なので、これに中学校や高校で学ぶものまでって考えると想像するのも嫌になります。

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さて、ここでお父さん、お母さんに質問です。

「今、小学校で習う漢字だけで構成された漢字テストを受けて100点取れる自信はありますか?」

ちなみに私はありません!!笑

大人ができないことを子どもに強いるっていかがなものでしょう?

でも、それは子どもたちに無理をさせなくていいとかベ勉強しなくていいという話ではなく、個々の限界に合った学習量と内容に切り替えて習得を目指すべきでは?という話。

実際に、現場で指導をしていて感じる一つの壁は小学2年生。そこの漢字(計240字)までは反復学習や工夫でなんとか習得できるものの、小学3年生以降の漢字が加わってくると、習得率は一気に下がってくるケースが非常に多いです。

にも関わらず、いざ、漢字の勉強をさせるとなると、1年生、2年生の漢字の勉強が終わると次は3年生の漢字というように、そのルートを絶対的に考える場合がほとんど。絶対にその順序でないと勉強してはいけないなんてルールはどこにも存在しないのに…。

漢字の習得が苦手な子は必然的に習得量に限界はあります。だったら、習得の優先順位は学習指導要領の学年順で考えるのではなく、本人が生きていく上で重要な順に学ぶという方向に切り替えるべきだと思います。加えて言えば、書き取りを重視する学習よりも、読みを重視する学習の方が大切だと考えます。

具体的に言えば、利用する頻度が高い漢字である本人や家族の『名前』『住所』を優先的に覚えることに始まり、社会で生きている場面の中で出会い、場合によっては生命の存続に関わることにつながってしまうような『危険』『一時停止』『非常口』『緊急』などといった漢字を知っておく方が大切であり、その漢字は書き取りで正しい漢字が書けることを求められる場面なんてまずありえなくて、読めることで十分に自分の身を守ったり、安全を確保することにつながります。

漢字は正しい書き順で正確に書けるに越したことはありません。でも、その方向ですべてを習得することが不可能なのであれば、学習内容や方向性を生活に密着したものに切り替えて学ぶべきです。漢字の習得を苦手としている子ほど、その部分を周囲がきちんと把握&調整してサポートしていくべきだと思います。

学ぶことの本当の目的は、テストで100点取ることではなく、子どもたちが安全かつ有意義な社会生活を送れるようにすること。

ですよね?

<⑥につづく>

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