利他のすすめ~チョーク工場で学んだ幸せに生きる18の知恵
大山泰弘/WAVE出版 ¥1,470
先日、このブログで日本理化学工業の大山泰弘会長のお話を例に挙げられてのキャリア教育を受けた教頭先生からの紹介資料の内容をご紹介させていただきました。(10月6日付け『人の幸せ』)
この日のブログを読んだS先生が、この大山泰弘会長が書かれた上記の本をちょうど読んだところなのでよかったらどうぞ♪♪と言って貸してくださいました。
大山会長のこれまでの78年にわたる人生の中で得られた、人が幸せに生きるために大切なことが18の知恵という形で紹介されていて、すごく読みやすく、なにより内容が引き込まれるもので一気に読み進めることができました。
この本の中で書かれている大山会長の一言一言が非常に重く、ある種の“悟りの境地”に近いものを感じました。
読み進めていくうちに、それがあながち間違いではなく、大山会長ご自身がいろいろな方からの教えを大切にされ、それを実践される中で得た一つの答えであるということがわかりました。
特に、その教えとして本の中で紹介されていた天台宗の宗祖である最澄の言葉と、その言葉を踏まえての東洋思想家の安岡正篤さんの言葉がとても印象的だったのでご紹介させていただきます。
一隅を照らす―。
国宝とは何物ぞ
宝とは道心(どうしん)なり
道心ある人を名づけて国宝と為す
故に古人の言わく
径寸(けいすん)十枚是れ国宝に非(あら)ず
一隅を照らす
此(こ)れ則(すなわ)ち国宝なり
最澄(『山家学生式』)
賢は賢なりに、
愚は愚なりに、
一つのことを何十年と継続していけば、
必ずものになるものだ。
別に偉い人になる必要はないではないか。
社会のどこにあってもその立場立場においてなくてはならない人になる。
その仕事を通じて世のため人のために貢献する。
そういう生き方を考えなければならない。
その立場立場においてなくてはならない人になる、
「一隅を照らす」とはそのことだ。
安岡 正篤
そして何より、この本の中で一番心に響き、自分自身の仕事や生き方を通して一番大切にしたいと思ったことが、相手と自分との間に「強い絆」をつくるための方法です。
この方法を知らしめるために、大山会長は経験を踏まえてこの本の中でこう記されていました。
『知的障害者は、感じたことを正直に表現します。
相手に不信感を抱いたときには、その不信感をオブラートに包むことがありません。(中略)
彼らは自分の身を守るために、本当に自分のためを考えてくれている人かどうかを本能的に見分ける“嗅覚”を研ぎ澄ましています。
その感性は非常に鋭いものがあります。
嘘やごまかしはまったく通用しません。
彼らのご機嫌をとるために、表面的にほめているだけの人についていくことはないのです。
また、彼らには相手の職位や立場など関係ありません。
人間として信頼されていなければ、いくら権力で彼らを従わせようとしても、それが成功することはありません。(中略)
健常者も同じことではないでしょうか?
たしかに、健常者は、相手に不信感を抱いていても、それを正直に表現することはありません。
いわゆる“大人の対応”をして取り繕おうとします。
そのほうが、波風を立てないですむからです。
もちろん、それも生きていくうえでの「知恵」には違いありません。しかし、あくまで虚飾です。
表面上はそれなりの関係を保っていても、心のなかではそっぽを向いているのです。
むしろ、「知恵」が働くからこそ、本当の信頼関係を結ぶことが難しいのかもしれません。本気で生きること。そして、本気で相手のためを思うこと。それ以外に、強い絆をつくる方法はないのです。』
(本文より抜粋)
自分自身の仕事は人と人のつながりなくしては決してできない仕事です。
そして、相手との強い絆が築けなければ、決していい答えを一緒に見つけることができない仕事です。
だからこそ、これまで出会った人たち・この先出会う人たちとの関わりの中で、本気で生き、本気で相手のためを思うことを忘れずに前に進んでいこうと思います。
そんな教えをいただいた、素敵な本でした。
こんな素敵な本を貸してくださいましたS先生。
本当にありがとうございました!!m(_ _)m