佐賀県武雄市が新しい教育の形に取り組もうとしている。それが「官民一体型学校」であり、来春から同市内の市立小学校で開設するという。
簡単に言えば、学校教育の現場に学習塾の指導法を組み込むというもの。その説明会が行われたそうだが、話を聞いた人たちの反応は期待と不安が半々といったところであろうか…。
説明会の内容等を見ている限り、革新的ではあるが、現実的ではないと言わざるを得ない気がする。なぜならそれは、『学校の塾化』とでも言うべき、不可侵領域を侵しているに過ぎない方法を用いようとしているからだ。
塾のやり方をそのまま学校に持ち込んだところで、塾と同じ成果を生徒全体に均等にもたらすことなど到底できはしない。っていうか、塾のやり方を持ち込むこと自体が不可能なのだ。
一番の問題は莫大な予算を要する人員増にどう対応するのか?ということ。ただ対応する人数が多くなりさえすればいいというものではない。それなりの資格やスキルを必要とすることはあたり前の話。それを公教育に場で行うとなれば、教員の定員増に伴う予算をどこから捻出するのかという切っても切れない問題に直面する。
もし仮にそれが可能なのだとすれば、こんな改革以前に教員数の増を図り、クラス定員を減らすという取り組みから始めるベキではないかと思う。
個人的には、学校教育の現場と塾のような民間教育との連携の必要性は事あるごとに話してきた。官民が一体となって子どもたちの教育を考えるということについては大賛成であるが、それはどちらかがどちらかに(普通に考えれば学校側が塾側になってしまうが…)迎合するような形などではない。必要に応じて、情報の共有や指導方法の統一といったレベルのものであり、子どもたちのここの特性に合わせるという意味で、決して画一的な教育改革を意味するものではない。
教育問題については決して安易に考えることなく、もっともっと真剣に考え、取り組んでもらいたいものである。