計算テストの“途中式”を書いたら『×』という指導があるなんて…

現場で子どもたちに勉強を教えている立場として、とても気になるニュースが…。

12月14日配信分のJ-CASTニュースにこんなニュースが出ていました。

計算テストの答案に「途中式」を書いたら不正解に――。小学校に通う子供が、教師からこうした指導を受けていると訴えた父親の報告ツイートが、インターネット上で注目を集めている。

この父親の投稿には、「うちも全く同じ」「『消すように』と指導されてた」と共感の声が広がったほか、こうした指導法に「意味がわからない」と困惑するユーザーも続出している。実際、小学生に「途中式」を書かないように指導するのはよくあることなのか。J-CASTニュースが取材した。

詳しく読んでみたい方は、こちらからどうぞ。 → 計算問題の「途中式」書いたら不正解!?

まさに「意味が分からない」話だ。たしかに、稀に授業中に自分が指導した内容の通りに解答していないと『×』にする先生がいる。Selfishの子どもたちには、そんな場合でもその子に合った他のやり方で解けるように教えてあげて、「もしそのやり方で、テストのときに『×』されたら、先生が学校の先生に話をしに行ってあげる。」と言っています。

今回の話で一番のポイントは、“途中式”を書かないことを『×』とする指導の根拠が全然わからないということだ。実際のその指導をしている先生の意見は掲載されていなかったのでなんとも言えないところではあるが、“途中式”を書かないように指導しているという東京都内の中学受験専門塾の担当者の説明として、

「中学受験の場合は、問題を解く時間が非常に限られていますから。簡単な計算であれば、時間の効率を重視して途中式を書かず、できるかぎり暗算をするように教えています」

という内容が掲載されていた。しかし、このコメントには以下の文章が続く。

ただ一方で、「小学校でこのように教えているという話は、私は聞いたことがありません」とも話していた。

それが正しい見解であろう。子どもの学習状態の確認も、間違っている過程の確認、そしてなにより極力ミスを無くすための手段としても、“途中式”は消すどころか、極力書くように指導すべきだと考える。

“途中式”を消すように指導している特別単元が一つ

実は、中学3年生の数学の中で唯一、場合によっては一度“途中式”を書いて答えを出し、解答用紙には「“途中式”を消してから答えだけを書いておくように!!」と指示しているものがあります。

それは、文字式のなかの展開公式の問題。これに関しては問題文の中に「展開公式を用いて計算しましょう。」という形がほとんどで、展開公式をきちんと覚えて使えている子は、もちろん“途中式”そのものを書く必要はないのですが、展開公式をきちんと覚えきれていなくて答えに不安がある子は、一度、通常の展開をした後、同類項をまとめる計算をして、正しい答えを出して確認するように指導します。その際に、解答欄に“途中式”を書いていたら展開公式を使っていないことがわかり、問題の条件に合わないので必然的に『×』になってしまうため、ちゃんと“途中式”を消して、答えだけ書いて出しように指導します。

もちろん、その単元においても最終的にはきちんと覚えきるように指導と勉強を重ねてはいきますが、どうしても覚えきることが難しい場合のテスト対策の手段として指導している特殊なケースです。

余談にはなりましたが、本来“途中式”はあって然るべきものだし、それを残していたら『×』というのはいかがなものでしょうか?

大切なことは、子どもたち自身が、自分に合ったやり方で正しい答えに辿りつく手法を身に付け、それをきちんと使って正しい答えを出すこと。そこに必要以上の、それも一般的に正しいとは考えにくい制限をかけることは、するべきではないと思います。

子どもの真っ直ぐな成長を、そして、「できた!!」という喜びをたくさん与えてあげられるような学習場面を作り出していきたいものですね。

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