メッセージ

今日の授業の中で、高校生の子の国語の課題を一緒に解いている中で、こんな文章に出会いました。 
モンテーニュという16世紀のフランスを代表する哲学者の書いた「随想録」の中の一節。
「試みにわが国の民衆に向かって、道行く一人を指し、『おお学者よ』と、またもう一人を指し、『おお徳人よ』と叫んでごらん。必ず人々は、前者に目をむけ敬意を注ぐ。どうしてもそこに第三の男が『おお度し難き南瓜頭よ!』と叫ばないではおさまらぬ。
我らはよく聞きたがる。彼はギリシャ語を知っているのか、ラテン語を知っているのか。韻文を書くのか、散文を書くのか』と。だが『彼は徳を増したのか知識を増したのか』ということは、昔は第一に問われたものだが、今では一番後回しだ。問うべきは、誰が『最もよく知る人か』で、『最も多く知る人か』ではない。
我らはただ記憶をいっぱいにしようとばかり励む。そして悟性(論理的に考える力)と良心とを空っぽにしておく。」
この文章を読んだとき、さすが高校生用の国語教材の中に引用されている文だなって思いました。
すごくシンプルな教えだけど、今の人々、特に高校生には伝えたいメッセージがそこにはしっかりと刻まれている気がしました。
人間が学問を学んだり、自分の成長を考える上で本当に大切なことは知識の量を増やすことではなく、自分が学んだ知識をきちんと利用できる力を身に付けること。
記憶をいっぱいにする教育よりも、悟性と良心をしっかり成長させ、自分で考える力を育てられるような教育を子どもたちには伝えていきたい。
子どもたちにもこういった問題に取り組むとき、その文章を単なる設問のための問題分として読むのではなく、その中に込められたメッセージをしっかり受け取って欲しい。
先人の教えは、どれだけ時間が経っても色褪せることなく、大切なことを教えてくれる。

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