西日本新聞掲載のデータ。(写真のデータは西日本新聞11月26日配信分より抜粋)
2006年と2016年を比較した九州全域での公立の特別支援学校・学級に通う子どもに関するデータ。九州7県ではこの10年間で1.7~2.3倍と大幅な増加傾向にあり、その中でも2016年が過去最高になっているという。
障がい種別的に見ると、知的障がいと発達障がいの子どもの増加が大きく、その背景の一つとして障がいの認知が広がったことで社会的な偏見が薄らいだことが大きく影響しているのではないかということ、それに加えて、個別指導に近い専門的な教育が受けられる特別支援学校・学級に切り替え始めた保護者が増えた結果ではないかと分析している。
これは九州に限ったことではなく、同じく2016年の文部科学省の発表によると、特別支援学校・学級に通う子どもは全国で34万7519人でこちらも過去最高の数字になっているという。
社会的な偏見が薄まり、認知度が上がったことで、全国的にこういった傾向にあることは困り感を抱えている子どもたちにとってはとても喜ばしいことであると思う。個人差はあるものの、いろいろな特性などからくる困り感に対して必要な教育・支援を受けられる環境にあるということは、その子の将来に向けての成長にとっては大きなプラスとなるし、二次的障がいの軽減にもつながる。
次なる課題は…
その結果起こる次なる課題は受け皿のキャパシティの問題である。
特別支援学校の施設に対して生徒数の増大に伴う施設の不足。各県における特別支援学校の配置における地域性の問題。以前にも本ブログで述べた特別支援免許を有する教員の不足の問題など。
また、特別支援学級では、知的のクラスと情緒のクラス、場合によっては視覚や聴覚の障がいに対するクラスの設置など学校規模によって障がい種別分けした対応の難しさや特別支援学校以上に専門免許を有する教員の配置の難しさなど、問題は山積ろう。
それに合わせて、各都道府県の教育委員会では特別支援学校の新設や対応学部(小学部・中学部・高等部)の増設、特別支援学級数の増加などの対応に対して、予算面の問題や人員配置、人員不足の問題など対応に追われることは明らかだ。実際、岡山県内の特別支援学校に置いても、教室が足りずにプレハブ教室で増室して受け入れ態勢を強化している分、その場所の確保のために子どもたちの活動場所であるグランドが狭くなってしまっている学校なども多い。
そういった様々な問題を抱えながらで大変だとは思うが、文部科学省や教育委員会でしっかり新設や増設などを検討しながら対応を強化して、子どもたちの学びの保障という意味での教育環境の整備に努めてもらいたいものだと思う。