点をつなぐ

スティーブ・ジョブズ氏が2005年6月12日にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチの原稿(原文・日本語訳)を元にした課題が中学校で出されていて、奇しくもその課題に一緒に取り組むことで、そのスピーチ内容を読む機会を得た。
ジョブズ氏が無くなったことは記憶に新しいが、その後いろんな形で彼の名言や著書が取り沙汰されている。
「是非、機会があったら読んでみて!!」を薦められているにもかかわらず、未だ全然読めていないのだが…。
そのスピーチの中で、学生に送られた3つの話。
中でも個人的に“点をつなぐこと”についての話が非常に興味深く、次の言葉が大きな力となって背中を押してくれているような気がした。

『先を見通して点をつなぐことはできない。
振り返ってつなぐことしかできない。

だから将来何らかの形で点がつながると信じなければならない。
何かを信じなければならない。

直感、運命、人生、カルマ、その他何でも。
この手法が私を裏切ったことは一度もなく、私の人生に大きな違いをもたらした。』
                                (課題資料の日本語訳より抜粋)
物事を考える上で、一つ一つの事象を点として捉えていたのではなかなか答えに辿り着けない。
その点と点をうまくつなぐことによって、ある答えを導き出すことができるのだ。
だから、思考を巡らせる上で、点をつなぐ作業は必要不可欠なものであると考える。
そして、ある程度つなぐことを想定して点を確立していくこともまた重要なことであると思う。
人生においてもそれは同じこと。
点をつなぐことで一つの線が生まれ、線が増えれば平面を成し、その積み重ねが空間を構築する。
それにより、人生がより深くおもしろいものになっていく。
だから、物事を考える際と同様につなぐことを想定して点を確立していくことが人生においても大切だと思っていた。
だが、ジョブズ氏は言う。
点がつながることは点を積み重ねたことの結果であり、想定した上で点を重ねていくことはできないと…。
そして大切なことは、人生において重ねていく点が、いつか何らかの形でつながることを信じることだと…。
たしかに自分のこれまでの人生で考えてみてもそうなのかもしれない。
先を想定して重ねてきた点よりも、何も考えずただ思うがままに重ねてきた点の方が、より今の自分を成り立たせてくれている気がする。
自分が想定して重ねた点は、あくまで自分の持つ小さな世界の中での想定以外の何ものでもなく、そんな小さな想定が現実の大きさや可能性を超えるなんてことはありえない。
大切なのは、点がつながることを信じて、前を向いて点を重ね続けていくこと。
そして、振り返ってその点をつないでいこう!!

-ことば

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