数字から見る実態

文部科学省がまとめた2010年度の特別支援教育の状況に関する調査(2010年5月1日現在)結果が発表されていた。
内容は、通常学級に在籍したまま通級指導教室で一部専門的な支援を受けた公立小中学生の児童生徒に関するもの。
そのデータは次のようなものであった。
通級による指導を受けている児童生徒数
    小学校  56,254人
   中学校   4,383人
   合  計  60,637人

これは過去最多の数字であるとともに、増加数もうなぎ上りで過去最大の増加。
中でも、とりわけLD(学習障害)とADHD(注意欠陥多動性障害)の増加が著しいという結果になっている。
この約6万人という数字は、全児童・生徒に対して0.6%という割合で、前年度とほぼ同じ水準の数字。
この数字を多いと見るか、少ないと見るかは、結局のところを何を基準に考えるかによって変わるため、簡単に答えの出せるものではない。
でも、決してこれがすべての数字ではなく、ある意味氷山の一角に過ぎず、その実態は本当の意味で把握し切れていないのが実状だろう。
実際、通級指導教室に通っていない児童・生徒、特別支援学級に在籍している児童・生徒、通常学級に在籍しながらまったくそういった専門的な支援を受けていない児童・生徒まで考えたら、一体どれだけの子どもたちが支援を必要としているのだろう?
というより、支援を必要としている子どもたちがどれだけきちんとその支援を受けられているのだろう?という単純な疑問が生まれてくる。
実際の現場では、いろんな意味でその支援が受けられずに困っている子どもたちが本当にたくさんいるのだから…。
そして、それだけたくさんの子どもたちが必要としている支援を、国はもっと力を入れて行い、いろんな意味での支援を受けられる幅をもっともっと広げる努力をして欲しいというのが切なる願いだ。
この結果の資料の中で、文部科学省の特別支援教育科では「障害のある児童・生徒一人ひとりに対する支援の質の充実が課題」と言っている。
その言葉を、決してキレイごとや建て前で終わらせるのではなく、きちんとした形で示して欲しい。
それこそが、可能性いっぱいの子どもたちの未来を創るべき、大人の重要な使命なのだから…。

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