『うまさ』と『強さ』

眠たい目をこすりながら5時前に起床しテレビのスイッチを入れる。低いとはいえ、決勝トーナメントへの進出の可能性を残したグループリーグの最終戦。「勝って望みをつないで欲しい…」そんな想いのたくさんのサポーターが日本全国で同じようにテレビの前にいたことだろう。

あたり前のことだが、この予選リーグ3試合の中で一番気迫のこもったプレーだった。前半から積極的に攻め、「勝つんだ!!」という気持ちがピッチ全体で見てとれた。

前半の早い時間帯にPKで1点を献上してしまう。勝ちにこだわる試合で相手に先制点を与えてしまうことはやはりとても厳しい。それがそこからのゲーム内容にも如実に表れていた。点を取るために前がかりになって攻め、ボールを奪われるとカウンターを食らう。見ていてハラハラするし、この試合に勝って終わっている日本代表をイメージするのが難しかったが、前半終了前のアディショナルタイムでそんな雰囲気を一蹴してくれた。

流れの中から岡崎のヘディングでゴールネットを揺らし、同点で前半を折り返す。0-1で蒔けたまま前半を終わっているのと、1-1に追いついて前半を終えるのとでは後半への入りが全然違うあの場面で、1点をもぎ取り追いついたことは素晴らしいことだし、選手を始め、サポーターも含め日本中が決勝トーナメント進出に向けての期待を大きく膨らませるに値する最高の1点だった。

しかし、そこまでだった。結果はご存知の通り、1-4という大差での黒星。そして予選リーグ敗退が決定し、日本代表のブラジルワールドカップが終わった…。

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非常に残念な結果であったが、予選リーグの3試合を見ていて、ある意味仕方のない結果のような気がした。

日本代表の試合を見ていて感じるのは、『うまさ』は持っているが『強さ』を持っていない。うまいけど強くないのだ。ここで言うところの『強さ』とは相手に与える『怖さ』だと思ってもらったらいい。それは“1本のパス”だったり、“決定力”だったり、“プレッシャー”だったりといろんなものがあるだろうが、総じて言えば一瞬でゲームの流れを変えてしまえるような何か。それが日本代表には感じられない。

技術力にすごくうまいと思えるレベルの選手がたくさんいる。ここ10年ぐらいの間で格段に進歩していると思うし、海外のチームからオファーを受け、海を渡り、結果を出している選手がたくさんいることからもそれはわかる。でも、そのうまい選手があれだけ集まって日本代表としてチームを構成したときうまいチームはできあがっているが、強さを持ったチームにはなれていない。そもそも、そんな選手がいないんだから仕方のないことだが…。

日本の選手が海外で活躍できているのは一人ひとりの選手のうまさをきちんと引き出してくれるチームとしての『強さ』だったり、『強さ』を持った選手だったりの存在があってこそのものである気がする。それこそがチームとして機能するということであり、チームとして勝利という結果を得られることにつながるのではないだろうか?今日の対戦相手のコロンビア然り、結果を出しているチームの試合を見ていると要所要所でうまくて強いと感じ、そのプレーに目を奪われてしまうのだ。

そんなことを改めて感じた今日の試合であり、今回の日本代表の戦いだった。

だからこそ、今回の敗戦から学び、日本代表がそんな世界のトップレベルのチームに肩を並べられるようなチームになることを願ってやまないサポーターの一人である。

日本代表の戦いは終わったが、ワールドカップは決勝トーナメントに入るここからが本番。4年に一度のサッカーの祭典を思いっきり満喫したい。

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